2026/01/22 10:53
歯周病の原因菌としてよく名前が挙がる、ポルフィロモナス菌。
この菌は酸素が苦手な嫌気性菌で、歯と歯ぐきのすき間、いわゆる歯周ポケットの奥深くに住みつきます。
実は、健康な口の中にも少量は存在しています。
ただ、口の中の環境が乱れると、一気に力を持ち始める。
ここが大事なポイントです。
この菌は、数が増えるから怖いというより、
口の中の「場」を支配するタイプの菌なんですね。
ポルフィロモナス菌の厄介なところは、単純に歯ぐきを壊すだけではありません。
本来、私たちの体は菌を排除しようと免疫が働きます。
でもこの菌は、その免疫の反応をうまくかく乱します。
守るための仕組みが、逆に炎症を長引かせてしまう。
その結果、強い炎症が慢性的に続き、
歯ぐきや歯を支える骨が、少しずつ壊れていきます。
さらに、この菌はタンパク質を分解して栄養にします。
出血や炎症がある状態は、ポルフィロモナス菌にとってはごちそう。
こうして、炎症が起きる → 菌が元気になる → さらに炎症が続く
というループができあがってしまいます。
そして最近わかってきたのが、これは口の中だけの問題ではない、ということ。
ポルフィロモナス菌は血管に入り込みやすく、全身を巡る炎症と関係していると考えられています。
研究では、動脈硬化、糖尿病の悪化、アルツハイマー型認知症などとの関連も指摘されています。
「口は体の入口」という言葉、実はかなり本質を突いているのかもしれません。
では、どう付き合えばいいのか。
この菌を完全にゼロにする、というのは現実的ではありません。
もともと常在菌でもあります。
大切なのは、環境づくりです。
歯周ポケットを深くしないこと。炎症を長引かせないこと。
免疫がきちんと働く状態を保つこと。
毎日のセルフケアに、定期的なプロのケア。それによって、菌が暴れにくい環境を整えておく。これがいちばん現実的だと思います。
少し視点を変えてみると、ポルフィロモナス菌は「突然やってくる敵」ではありません。環境が乱れたときに、力を持ってしまう常在菌。
この考え方は、腸内環境の話ともよく似ていますよね。
無理やり抑え込むより、整える。口の中も、体全体も。
歯周病って、実は「全身の話」でもあるんです。